牡鹿町給分浜には、重要文化財の十一面観音立像が伝わっているが、この像を本尊としているのが持福院観音堂である。観音堂は3間四方、宝形造、桟瓦葺(もと茅葺き)。
観音堂の由緒、沿革については不詳な部分が多いが、厨子の組物・本堂の組物などは同一の建築様式であり、特に、木鼻類の意匠や角柱の大きな面取りに江戸初期~中期の特徴がみられる。虹梁に施された文様・獅子頭・木鼻の彫刻など、細部意匠のつくりは堅実で優れており、随所に安定した技法が認められる。
多少、校正の修復が入るものの、保存状態が比較的良好であり、江戸初期の様式を残す秀作である。 |